01 オーバーナイト透析
腎内科クリニック世田谷では夜間の睡眠時間を利用しての透析、「オーバーナイト透析」を行っております。
本院のオーバーナイト透析についてご紹介いたします。
オーバーナイト透析とは
深夜帯の睡眠時間を利用して行う長時間透析です。 8時間透析ですが、一晩中夜間の就寝中行うため、十分な透析を無理なく行うことができます。身体に蓄積された尿毒素や水分を、ゆっくりと時間をかけながら除去するためお身体への負担が少なく、血圧の安定やお薬の減量、貧血の改善が期待できる透析方法です。これまで仕事との両立で苦労されていた方や、もっと日中の時間を活用したい方、負担のない長時間の透析を希望されている方にとって、とても有意義なQOL(quality of life)の高い透析です。
2日空きのリスク
3万人にて2日空いた時の死亡や入院の危険が有意に高い!
2万人の透析間隔と死亡率との関連について、透析日と曜日別死亡率は、月水金(a)は月曜、火木土(b)は火曜、即ち最も透析間隔が空く曜日での死亡率が高かった!
メリット
- 深夜透析のメリット=長時間透析+αのメリット
- 日中の仕事・家事・余暇等の時間を確保できる。開始時間が遅いため、残業、夕食や入浴を済ませてから透析ができる。
- 1就寝中実施で体感時間が大幅に短縮され、ベッド上での拘束時間のストレスをなくすことができます。
- 2金曜日に実施することで、尿毒素や水分がより多く蓄積し、2日空きとなる時間を短くする事ができます。
- 3オーバーナイト旅行(臨時)透析で、実施日の宿泊費が不要となり、費用がお得になります。
- 4身体への負担が少なく、透析中の血圧(循環動態)の安定、高血圧や貧血の改善、心不全、透析アミロイドーシス等の合併症軽減や予防、良好な生命予後(元気で長生き)が期待できる。
- 5透析後の身体のだるさ、痛み、足のイライラや下肢つり、発汗異常や口腔乾燥、皮膚のかゆみや黒ずみが軽減される。
- 6血圧、リンやカリウム値が低下し薬を減らす事ができる。また、食事制限が緩やかになり、食欲も増し、栄養状態が改善します。
対象者(注意点、お願い)
社会復帰を目指す方 日中の長時間透析は難しい方 活動時間を有効に過ごしたい方 オーバーナイト透析を実施されてみてはいかがでしょう!
対象者
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- 01
- オーバーナイト透析を希望している。
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- 02
- 長時間透析の利点を理解し、実施したい希望がある。
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- 03
- 社会復帰を目的としている(就労・勉学など)。
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- 04
- 長時間透析中は血圧の低下がない、もしくは少ない。
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- 05
- 高度な心機能低下等の重篤な合併症がない。
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- 06
- 高度の不眠がなく透析を受けながら眠ることができる。
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- 07
- 医師・スタッフの指示を守れる。
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- 08
- 介助者を必要とせず、自力で通院できる。
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- 09
- 高齢でかつ認知機能が著しく低下した状態ではない。
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- 10
- 同意書について理解し承諾している。
注意点
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- 01
- 日中もしくは準夜透析数回を経てオーバーナイト透析を開始します。
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- 02
- 消灯中は急な体調不良時等を除き睡眠を妨げる血圧測定等は行いません。
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- 03
- 体調不良時は日中もしくは準夜透析に変更して頂きます。
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- 04
- 深夜につきスタッフは少数であることをご了承下さい。
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- 05
- 血圧低下予防の為、時間あたりの最大除水量を患者様個々に設定させて頂きます。
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- 06
- 寝返りで回路が引っ張られても抜針事故が起きないよう回路と腕はしっかりとテープ固定させて頂きます。
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- 07
- オーバーナイト透析中の喫煙・飲酒や消灯時間帯における食事はご遠慮下さい。
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- 08
- オーバーナイト透析経験者の方でオーバーナイト臨時(旅行)透析が可能です。
スケジュール
- オーバーナイト透析の流れ
- 22~23時の間に透析を開始し、23時消灯で翌朝の6~7時に終了を予定します。血圧などの透析中のバイタルチェックは原則として、透析開始前、透析開始時、翌朝午前6時、終了時の4点のみ行います。8時間と聞くと気が遠くなるように感じられると思いますが、実際の体感時間は、約30分~1時間程度です。 睡眠と透析を同時に行うため、日中の時間が有効に活用できます。
安全対策
- 循環血液量モニター
(BVM:BloodVolumeMonitoring) - これにより、血圧の低下を監視します。
- 抜針対策
- ループ(α)固定にし、鉗子やテープで肩に止める。
抜針の予防策について
抜針は大出血を起こし命にも関わるため予防策を講じます。
- 日中もしくは準夜透析数回を経て抜針リスクが低いことを確認の上、オーバーナイト透析を開始します。また、体調不良時は日中(もしくは準夜)透析に変更して頂きます。
- 寝返りで回路が引っ張られても抜針事故が起きないよう回路と肩、腕にしっかりとテープ固定させて頂きます。テープ固定は日常的に本院にて実施開始後、抜針事故が激減したループ(α)固定を行います。さらに、シルキーポアも使用し、体動の激しい方は、抜管抜針予防用シーネ(ソフトシーネ)にて穿刺部を覆います。
- 無用な体動を減らすためにも、オーバーナイト透析中の喫煙・飲酒や消灯時間帯における食事はご遠慮頂きます。
- 無風の放射冷暖房システム採用により、空調による不快感を無くし、体動の少ない安眠のご提供を目指します。消灯後も対応可能な赤外線カメラにて監視させて頂きます。また、血液漏れ(漏血)センサーを用い、抜針の早期発見に努めます。