人工透析・糖尿病専門外来 千歳烏山駅北口

腎内科クリニック世田谷
〒157-0062 東京都世田谷区南烏山4-21-14

菅沼院長の元気で長生き講座
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第150回 元気で長生き講座【2025年4月号】

菅沼院長の元気で長生き講座

 

自主機能評価指標(2024年12月末現在)

~本院は全国平均より透析量が多く「長生き」が期待出来る良好な検査結果が得られています~

 

本院も施設会員となっております日本透析医会は自主機能評価指標の項目を選定し、自律的に自らの診療内容や医療の質の評価を公開することを勧めており、本院でも選定された全ての評価指標項目を公表しております。

 

 

-2施設の機能における本院の特徴としてオーバーナイト透析(深夜透析)や在宅透析方法である腹膜透析(PD)及び在宅血液透析(HHD)双方に対応している事があげられます。深夜透析やHHD実施によっても、良好な生命予後が期待出来る長時間透析実施に繋がっています。また、本年からオンラインHDFに加えて、間歇補充型HDFI-HDF)も本院では実施可能であることを本指標でも公開しました。

 

Ⅲの治療指標は透析治療結果を反映するものです。本院での腎性貧血管理は生命予後の観点からも鉄欠乏のリスクを高める赤血球造血刺激因子製剤(ESA)が過剰とならない事も目指しており、TSAT(鉄飽和率)20%以上に鉄が充足されていると生命予後良好1)PIVOTAL研究にて鉄剤の積極的投与群と鉄欠乏にいたってから鉄補充を行う消極的投与群との比較で、積極的投与群でESA投与量や輸血が有意に少なく、心不全入院、心筋梗塞や全死亡が有意に少なかった事が報告2)されており、鉄剤の積極的な投与によりヘモグロビン(Hb)平均値11.2(中央値11.0g/dLと共に、貯蔵鉄の指標であるフェリチン(ferritin)平均値236(中央値175)、検査実施20191112月)ng/mLと以前より上昇しており、ESA投与量が少ない方3)やエリスロポエチン抵抗性指数(ERI)低値での生命予後良好4)が報告されており、ESA投与量が少ないERI低値の患者様が多くいらっしゃいます。日本透析医学会の2015年版 慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン5)に従いHb1012g/dLを目標値としつつ、同じく生命予後との関連も明らかとなってきております鉄の状態にも引き続き注意していきたいと存じます。

 

副甲状腺ホルモンの数値であるiPTH平均値158.8(中央値135pg/dLと以前より上昇しておりますが、PTH値と生命予後との関連が低かった報告6)もあり、日本透析医学会の慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)の診療ガイドライン7)においても、異所性石灰化予防及び生命予後の観点からもリン(P)値、補正カルシウム値(cCa)、副甲状腺ホルモン(PTH)値の順に優先して良好な値を目指すべきとされており、cCa平均値は9を超えている全国平均よりも低い8.7(中央値8.7mg/dLcCa10 mg/dL以下の割合98%の良好な数値となっております。実際、上記CKD-MBDの診療ガイドラインに「透析患者においては血清Ca濃度がたとえ管理目標値内であってもできるだけ低く保つ方が生命予後を改善する可能性が示唆された」との記載がなされております。しかしながら、透析患者様においても重篤な不整脈の原因となる心電図変化で生命予後との関連も報告8されているQT延長が低Ca血症では多く見られることがわが国の統計調査結果でも報告9されており、低血圧や下肢つりの原因となることもあり得ますので、現在の本院平均及び中央値辺りのcCa値を今後も目標値としていきたいと考えております。なお、血清アルブミン(Alb)値4g/dL未満では補正式でcCaを算出します。

 

18時間の6時間透析(長時間透析)施設での高血圧管理及び生命予後良好が報告10されており、日本透析医学会血液透析処方ガイドライン11)でも生命予後と関連するため透析時間は4時間以上が推奨されており、本院施設透析患者様で4時間未満の短時間透析の方はいらっしゃらず、平均透析時間は5時間を超えており8割弱の方が5時間以上の透析、34人にお一人は週18時間以上の長時間透析をお受け頂いております。透析量の指標であるspKt/V1.2未満の一部の方は透析導入間もない方やHHDにて週4回以上の頻回透析をされておられ本院施設透析時に短時間透析で前後採血を行っている方で、高血液流量透析も実施している本院平均spKt/V値は1.822009年末のわが国の慢性透析療法の現況にてspKt/V1.82の方が最も(次いで2以上の方の)生命予後良好が報告12)されています。

 

透析アミロイドーシスの原因蛋白β2-マイクログロブリン(β2MG)値は低値程生命予後良好が報告12されており、日本透析医学会血液透析処方ガイドライン11)では30mg/L未満、可能であれば25mg/L未満が目標とされており、本院平均β2MG25mg/Lの「長生き」が期待出来る良好な数値となっております。

その他、公開をご希望される項目などございましたら、本院スタッフまでお申し出ください。

 

「元気で長生き」を目標に可能な範囲でより良い治療結果が得られるよう皆様と共に今後も歩んでいきたいと考えておりますのでご理解とご協力を宜しくお願い申し上げます。

 

*は「日本透析医会の自主機能評価指標でない」ものの本院で更に公開している項目です。

 

<参考資料>

  1. Hyang Mo Koo, Chan Ho Kim, Fa Mee Doh, et al. The Relationship of Initial Transferrin Saturation to Cardiovascular Parameters and Outcomes in Patients Initiating Dialysis. PLoS One. 2014;9(2): e87231.
  2. Iain C Macdougall, Claire White, Stefan D Anker, et al. Intravenous Iron in Patients Undergoing Maintenance Hemodialysis. N Engl J Med;380(5):447-58,2019.
  3. Bae MN, Kim SH, Kim YO, et al. Association of Erythropoietin-Stimulating Agent Responsiveness with Mortality in Hemodialysisand Peritoneal Dialysis Patients. PLOS One 2015;10(11):1-13.
  4. Rieko Eriguchi, Masatomo Taniguchi, Toshiharu Ninomiya, et al: Hyporesponsiveness to erythropoiesis-stimulating agent as a prognostic factor in Japanese hemodialysis patients: the Q-Cohort study. J Nephrol. 28(2): 217-25, 2015 DOI:10.1007/s40620-014-0121-9.
  5. 日本透析医学会. 2015年版 慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン. 透析会誌 2016;49(2):89-158.
  6. Fukagawa M, et al:Abnormal mineral metabolism and mortality in hemodialysis patients
    with secondary hyperparathyroidism: evidence from marginal structural models used to adjust for time-dependent confounding. Am J Kidney Dis 63(6):979-87, 2014
  7. 日本透析医学会. 日本透析医学会の慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)の診療ガイドライン. 透析会誌 2012;45(4):301-356.
  8. Simonetta Genovesi, Emanuela Rossi, Michela Nava, et al. A case series of chronic haemodialysis patients:mortality, sudden death, and QT interval. Europace 2013;15:1025–1033
  9. 一般社団法人日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況(2019年12月31日現在)」, 透析会誌 2020;53(12):579-632.
  10. 前田利朗. 6時間透析における生存率-20年間の経験から. 日本透析医会雑誌 2010;25(1):95-100.
  11. 日本透析医学会. 維持血液透析ガイドライン:血液透析処方. 透析会誌46(7):587-632,2013
  12. 日本透析医学会統計調査委員会. わが国の慢性透析療法の現況(2009年12月31日現在). 日本透析医学会雑誌 2011;44(1):1-36.