第91回 元気で長生き講座【2019年11月号】
~在宅血液透析(HHD)普及に向けた本院における5つの取り組み~
HHDは腎内科クリニック世田谷だよりと共に配布致しましたPDFが在宅血液透析研究会Webサイトhttp://jshhd.jp/ 上でも公開されている小冊子「在宅血液透析のススメ」にも記載されていますように「元気で長生き」が実現可能な療法であるため、普及が望まれます。今月開催される第22回在宅血液透析研究会でのワークショップ3「HHD普及への提案」にて、菅沼が発表予定の抄録のほとんどを下記(SNS:
ソーシャル・ネットワーキング・サービス、FB:フェイスブック、Twitter:ツイッター、PD:腹膜透析、PTA:経皮的血管形成術、On-line HDF:オンライン血液透析濾過、NIPRO:ニプロ)に紹介させて頂きます。4は第88回元気で長生き講座【2019年8月号】でも記述しております。5は昨年の第21回在宅血液透析研究会にて種山臨床工学技士が「ハートライン支援システムを用いた在宅透析の管理」を発表しております。透析患者様の「元気で長生き」を目指し、引き続きHHDも取り組んでまいります。
本院でのHHD普及に向けた5つの取り組みを報告する。
1.HHD認知度向上
HHDをご存知で無い患者様も多く、認知度を高めてHHD普及に努めるべきであると考える。本院では、冊子「在宅透析Q&A」を作成し本院Webサイトに公開し、SNS(FB、Twitter)でもオーバーナイト透析やPDと共にHHD実施中であることを明らかにしている。
2.エコーを用いた自己穿刺指導
自己穿刺に不安があり、普及の妨げとなっている。本院は超音波画像診断装置によるエコー画像を用いて視覚的に指導する事で、シャントの走行や穿刺技術習得をスムーズに行えている。本院バスキュラーアクセス外来にてエコーを用いた内シャントPTAも行っている。
3.HHD適応例の拡大
諦めず、できる限り患者様の要望に応えられるよう努めている。
事例1 在宅On-line HDF (腎と透析83巻別冊HDF療法’17 P194-197, 2017)
事例2 アシストPDならぬアシストHHD
事例3 視力低下に対し介助者が声かけ
4.月1回以上の施設透析実施
本院HHD2例目以降より、本院では月1回以上施設透析に来てもらう様お願いしている。施設透析にて定期検査の施行や処方の見直し、HHD中の情報収集が円滑に行え、施設側と患者側双方の安心につながっている(今回一般演題にて発表)。
5.情報通信技術(ICT)の活用
HHD中の記録は専用用紙に筆記で記載していたが、一部記載が抜けてしまう事もあった。近年、NIPRO社が提供している遠隔医療サービス「ハートライン」を用いて透析中の状況をリアルタイムに監視する取り組みを行っている。遠隔モニタを活用し、装置と連動する事で透析中の血圧変動や装置記録を抜けなく記録する事ができ、HHD中の状況把握に役立っている。実際に他社よりNIPRO社へ変更した患者様からも、記載の手間が省けた事やリアルタイムにタブレット端末より鮮明な画像にてビデオ通話でやり取りする事が可能となり、HHD中の不安解消につながったと喜びのお声を頂いている。
不屈の精神により、HHD患者がさらに増えることを期待したい。