金沢医大・友杉 直久 名誉教授の貧血治療の最新理論より(RBC-MCH, RBC-Hbプロット)
5月25日のブログに続き、金沢医科大学 名誉教授 友杉 直久 先生が提唱している貧血治療の最新理論より、「RBC-MCH, RBC-Hbプロット」のExcel(エクセル)ファイルを友杉先生の許可を得て、本院ウェブサイトにアップロードしました。無償で使用することができますので、ご興味のある方は以下のリンクよりダウンロードしてください。
5月25日にアップロードした「RBC-MCHプロット」は、一人の患者のデータの推移をプロットするものでした。
「RBC-MCHプロット」(再掲)のダウンロードはこちら>>
今回の「RBC-MCH, RBC-Hbプロット」は、Hb及びRBC値を含む複数のある時点での患者データをプロットするものであり、Hb及びRBC値入力によりMCHは自動で計算並びにプロットされ、施設の透析患者貧血管理状況を把握するのに有用です。RBC-Hbプロットは、RBCが350万/µL以下ではHbが12g/dLを上回ることがないことが一目瞭然となります。
「RBC-MCH, RBC-Hbプロット」のダウンロードはこちら>>
【友杉先生が提唱する貧血管理の最新理論】
「2015年版 慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン」(日本透析医学会)に基づいてヘモグロビン濃度(Hb)10~12g/dLを管理目標値とした場合、赤血球造血刺激因子製剤(ESA)と鉄剤をどのように使えば安全かつ安定した管理が行えるかを赤血球数(RBC)と赤血球恒数の一つであるMCH(一つの赤血球中に含まれるヘモグロビン量)で管理するというものです。
Hb = RBC×MCH という関係がありますので、Hb=10あるいは12としたとき、この式に当てはめると一定の曲線を描くことができます。また、一つの赤血球中に含むことができるヘモグロビンの数には上限があり、MCHはほとんどの患者で35pgを超えることはありません。これらのことから、ESAでRBCを300~350万/µLに、鉄剤でMCHを30~35pgの範囲にコントロールすればHbを安定に維持することができるとされております。
本院でもこの理論に基づいた貧血管理を実践し、従来よりもESA及び鉄剤投与量決定がしやすくなり、Hbを安定に維持することが容易になりました。