第18回 元気で長生き講座(2013年5月号)
〜家庭血圧(特に透析がない木曜か金曜の起床時)を測りましょう〜
血圧異常(高血圧や低血圧)は生命予後との関連が深いと考えられます。
日本透析医学会「血液透析患者における心血管合併症の評価と治療に関するガイドライン」では週初めの透析前の血圧140/90mmHg未満が目標値で、透析中収縮期血圧30mmHg以上の急な血圧低下や透析終了後の起立性低血圧をきたさない配慮が必要としています。しかし、週初めの透析前あるいは後のワンポイント血圧よりも週平均化血圧(weekly averaged blood pressure; WAB)の方が、前向き観察研究で心臓の筋肉が肥大してしまう左室肥大や狭心症などの心血管障害発生に関連すると報告(Moriya H, et al.Clin.J.Am.Soc.Nephrol 2008; 3: 416 )されています。
WABは週三回の透析前後の血圧と、毎日の起床時と就寝時の家庭血圧の合計の平均値より求められます。体水分量(体液量)が透析日と非透析日のある一週間を通じて変動し、これに伴い血圧も変化するため家庭血圧を含めた一週間単位の評価が重要と考えられます。家庭血圧を記録頂く血圧手帳を無料でお渡ししておりますので、お気軽にスタッフにお声掛け下さい。毎日起床時と就寝時の家庭血圧測定を続けるのは大変な場合もあるでしょう。WABは週後半の中日透析がない日(月水金透析の方は木曜日、火木土透析の方は金曜)の起床時血圧とよく一致するとも報告されている(Moriya H, et al. NDT 2007; 22: 1198 )ので、一週間測定する代わりに利用することも可能です!
透析室ではなく家庭血圧を用いた収縮期血圧125〜135mmHgが最も生命予後が良いとの報告(Alborzi,et al.Clin.J.Am.Soc.Nephrol 2007; 2: 1228) や合併症のない透析患者さんでは、昼間135/85mmHg未満、夜間120/80mmHg未満を目標とすべしとの報告(Mailloux, et al.AJKD 1998; 32: 705 )もあります。
適切な家庭血圧の維持により、動脈硬化や心血管合併症を減らし、
長生きを実現させましょう!