人工透析・糖尿病専門外来 千歳烏山駅北口

腎内科クリニック世田谷
〒157-0062 東京都世田谷区南烏山4-21-14

菅沼院長の元気で長生き講座
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第52回 元気で長生き講座(2016年3月号)

菅沼院長の元気で長生き講座

~国内での高血液流量透析の好成績が報告されました~

 

本院と同じく高血液流量透析を行っている名古屋の「城北クリニック」(クリニックだよりでも何度かご紹介させて頂いた事があり、本院の患者様も何名か臨時透析をされていらっしゃいます)による「高血液流量透析がQOL・生命予後に及ぼす影響を考察する」と題した論文が日本の透析関連文献の中で最も権威のある「日本透析医学会雑誌」に掲載されました(目叶裕史,江口直人,加藤㑅郎,中村中透析会誌2016;49(1):47-52)。

 

非常に影響力のある雑誌への掲載にて、高血流量透析に対する理解と普及が期待できます。内容の一部を抜粋し、ここにご紹介させて頂きます。

 

城北クリニックでは1978年頃より設定血液流量を300mL/min以上としており、現在では350mL/min以上と可能な限り高血液流量で治療を行っていらっしゃるとの事。今回の論文では城北クリニックの全患者155名と日本透析医学会の統計データを比較して生活の質(QOL)や生命予後への影響を検討しています。その結果、各検査結果が有意に良好な数値を示しており、QOLや生命予後が平均を大きく上回る非常に良い結果となっている事が述べられております。

 

現在、城北クリニックでの透析患者様の透析歴の平均は10.7±8.2年(全国平均8.8±6.9年)であり、透析歴20年以上の患者様の割合は21.9%(全国平均7.9%)と高く、長生きの長期透析患者様が全国平均の倍以上の明らかに高い割合を占めておられるとの事です。血液流量のみならず、透析時間も全国平均を上回り平均4.5時間を超えており、5時間透析の方が多いのも城北クリニックの特徴で好成績に寄与していることが考えられます。

 

血液流量の増大による循環器系への負荷を懸念する声も聞かれますが、福島県郡山市の援腎会すずきクリニックの鈴木先生らの論文(鈴木一裕,神田英一郎,菅野義彦,透析時血流量が心拍出量に及ぼす影響.透析会誌2015;48:239-42.)にて従来の低い血液流量(200mL/min)と高血液流量(360~400mL/min)の比較で有意差は認められないと報告されており、日本透析医学会ガイドライン(日本透析医学会.維持血液透析ガイドライン:血液透析処方.透析会誌2013;46:587-632)でも血液流量400~500mL/min程度では死亡リスクや心臓関連死は増加していないとされており、高血液流量による循環器系への負荷はないと考えられます。

 

論文の最後は「高血液流量透析は「よく食べよく働きよく遊ぶ、そのためにしっかり透析をする」を実現させ、元気に生活し(QOLが高い)、長く生きる(粗死亡率が低く透析歴が長い)ために重要な基本条件のひとつである。」という言葉(結語)で締め括られております。

 

高血液流量透析(高血流透析)が患者様にとってより良い療法である事が裏付けられた非常に価値ある論文の内容と同様に、本院も患者様の良好なQOLや生命予後実現の為にも引き続き高血流透析を行っていきたいと思います!