第49回 元気で長生き講座(2015年12月号)
患者様の「元気で長生き」を目指し、2008年京王線千歳烏山に本院は開業いたしました。以来本院通院患者様が年々増加しており、これもひとえに、多くの皆様のおかげであり、厚く感謝申し上げます。
日本の透析医療水準は高いことが知られていますが、まだまだ透析患者様の寿命は健常人と比較し遜色ないとはいえず、あらゆる合併症も生じ得ます。それは、生体の腎臓が365日24時間働き続けているのに対し、人工腎臓による1回4時間、週3回の施設透析が、時間にして1週間の7%分しか働いていないために、尿毒素の除去が十分に行われないことによります。透析合併症の多くは、十分な透析が行われないことにより起こるといえます。そのため、できる限り生体の腎臓のように、頻回かつ長い時間透析を行うことが、合併症を抑制するとともに、透析中の血圧低下等の身体への負担を軽減することにつながります。
そこで大切になってくるのが透析時間の確保です。
在宅透析は、医療機関に何度も通院しなくとも、ご自身の生活の中に透析を組み込むことができる画期的な治療法です。頻回に透析を行ったり、寝ている間に行ったりすることで、仕事をしたり、余暇を家族と一緒に過ごしたりと、ご自身のライフスタイルに合わせ時間をより有効活用することができます。在宅透析には、腹膜透析(PD)と在宅血液透析(HHD)がございます。共に共通することは、患者様の満足度が大変高いことです。体調やQOL(生活の質)が良好に保たれるため、施設透析に比べ、在宅透析を継続したいと願う患者様が多くいらっしゃいます。
これからは、在宅の時代です。良好な生命予後も期待される在宅透析の普及を目指し、その内容を分かりやすくまとめた「在宅透析Q&A」を製作致しました。この冊子をきっかけに在宅透析に興味や関心をお持ちいただき、1人でも多くの方に社会復帰、そして「元気で長生き」していただけることを心より願っております。