第47回 元気で長生き講座(2015年10月号)
いよいよ来月(11月22日(日))初の東京開催となる長時間透析研究会が開催されます。患者様・ご家族様は事前のお申し込み無しで、参加費無料でご参加頂けます。事前のお申し込みが必要となりますが、前日の21日(土)は参加費5千円の懇親会も同じ都市センターホテルにて開催されます。
午前中に12の一般演題と5つの演題によるシンポジウムの口演があり、本院で使用している無酢酸透析液カーボスターの有用性を多数報告している千葉のみはま病院より「溶質除去から検討した長時間血液透析の評価」と題した口演発表があります。宮崎の森のクリニックより「長時間透析における医薬品使用量の検討」と題した口演発表があり、長時間透析により、薬剤投与量が減少した事が報告されます。
シンポジウムでは昨年本院勉強会にて御講演頂いた坂井瑠実先生も御口演なさいます。大阪市立大学長沼先生も「透析導入施設による6時間導入の試み」と題した口演をシンポジウムでされます。長時間透析の医学的有用性が明らかであるため、導入時より長時間透析とする画期的な取り組みです。現在本院においても維持透析開始時期を可能な範囲で遅くし、いざ透析開始が必要となった際は腹膜透析(PD)による在宅透析又は、血液透析を選択された場合は5時間透析より開始する事を推奨しており、そのような取り組みを実際に行っております。
都内の著名な先生方にお願い出来た約1時間の二つの講演は、今回企業共催セミナー(ランチョン及びスイーツセミナー)となっておりますため、患者様・ご家族様に聴講頂けませんが、千円の抄録集をご購入頂けますと講演内容の概要はご覧頂けます。
私が開業前に所属しておりました東京女子医科大学第四内科(腎臓内科)主任教授新田孝作先生は「血管石灰化の病態と治療」と題した講演をランチョンセミナーにてされます。重篤な石灰化は透析患者様の生命予後に影響する重大な合併症です。血管石灰化の予防や治療において、カルシウム(Ca)・リン(P)値の管理が最も重要であり、(アルブミン値による)補正Ca値やP値が高くならないよう努めなければなりません。血清P値のコントロールに関しては、長時間透析等の十分な透析(しっかり透析)によるP除去に関してもお話頂けることと存じます。
午後の早い時間より、カーボスターを用いた長時間透析実施中の臨床工学技士であり患者様のお二人より、長時間透析実施に伴い体調が劇的に改善された体験をお話頂きます。
東京大学医学部附属病院腎疾患総合医療学講座花房規男先生は「血液透析による物質除去~血流と時間はどちらが重要?~」と題した講演をスイーツセミナーにてされます。血液透析による老廃物等の物質除去には、血流を上げる事も、時間をかける事も、どちらも重要であり、それぞれが重要である根拠についてお話頂けます。
午後の一般演題は17の口演と10のポスター発表が行われます。看護師発表セッションで本院小山看護師長が座長を務めます。本院臨床工学部より「長時間透析における自動排液装置NISEの検討」「本院における骨密度分布と透析時間、治療モードの関連」と題した複数の口演発表がございます。骨密度低下は血管石灰化(異所性石灰化)や動脈硬化との関連が言われており、骨密度低下を認めた際は、同時に異所性石灰化や動脈硬化が進行している可能性があるため、注意が必要です。
夕方の研究会最後の発表は、茨城県立中央病院の「無酢酸透析液使用下での長時間透析患者の動脈石灰化指数の推移」と題した口演で、Ca・P値の厳格なコントロールに伴い、カーボスターを用いた長時間透析中、石灰化が改善した患者様もいらっしゃる事が報告されます。
合計48もの演題数で、その他注目すべき演題が多数ある元気で長生きを実現する長時間透析の研究会が都内で開催される貴重な機会ですので、より多くの皆様に紅葉の綺麗な時期に永田町まで是非お越し頂ければ幸いです!