第42回 元気で長生き講座(2015年5月号)
本年も先月(4月19日(日))烏山区民センターで開催された腎内科クリニック世田谷患者友の会主催にて、第1部は正木技士長の本院でも実施中の「在宅血液透析(HHD)とは」、第2部は小生の「透析患者様の血液検査データの見方」と題しての勉強会が開催されました。
口演スライドを資料として配布させて頂きましたが、折に触れて参考にして頂きたく存じますので、欠席された患者様におかれましても、御希望頂けましたら、お渡し出来ますので、お気軽にお申し出下さい。小生の口演の中で何度か登場した、透析患者様の生命予後と大変関係がある筋肉量の指標とされているクレアチニン産生速度(%CGR)は、どのような項目から計算されるのでしょうか?との御質問を頂きました。
当日ご紹介させて頂きました宿野部さんの会社が運営するウェブサイト「じんラボ」 http://www.jinlab.jp/内の「じんラボツール:とうせきくん」内項目「健康(栄養や筋肉量)の状態がわかる」に%CGRの計算式が出ておりました。これによると、%CGRは、透析前後のクレアチニン(Cr)値、透析後の体重(通常はドライウェイト)、透析時の総除水量、透析時間、標準化蛋白異化率(nPCR)より計算される事が分かりました。nPCRは蛋白質摂取量を反映し、透析前後の尿素窒素(UN)の値、透析と次回透析までの時間及び体液量より計算され、体液量は身長と体重より計算されます。
以上の多数の項目により%CGRは計算されるのですが、Crは筋肉の代謝産物であり、しっかり運動し筋肉の元となる蛋白質をしっかり摂取頂き、長時間透析等のお身体に優しい時間をかけた透析を実施頂く事で、%CGRの数値を維持あるいは高く出来る事が考えられます。
元気で長生きにつながる事が期待出来る筋力トレーニングやウォーキングなどの運動は、その気にならないとなかなか出来ないものです。国際医療福祉大学病院透析センターの安藤康宏先生が、日本腎臓財団発行の文献(腎機能が低下している人とスポーツ―透析患者の場合―.腎臓2015;Vol.37 :p30 ・〈別表1〉)にて、「運動習慣を定着させる上での留意点」を5つ述べておられましたので、御参考になれば幸いです。
安藤先生の呼びかけで始まった下野運動療法勉強会(STEC)のウェブサイトhttp://www.stec-hp.com/では様々な運動を動画で見ることも可能であり、参考になろうかと存じます。本院においても下肢エルゴメータによる運動療法を血液透析中実施頂く事も可能ですので、是非ご相談下さい。