第38回 元気で長生き講座(2015年1月号)
〜しっかり食べて、しっかり透析(透析時間の延長や血流量の増加)の勧め〜
本院にもございます書籍「透析医が透析患者になってわかったしっかり透析のヒケツ」の著者である仙台の「かわせみクリニック」院長の鈴木一之先生が「しっかり透析」 の御講演のため上京され、11月22日(土)本院にて臨時透析をお受けになられました!以前より「 透析医が透析患者になってわかったしっかり透析のヒケツ」 の第4章「 水分と塩分のコントロール」 を透析間体重増加の多い患者様にお読み頂く事をお勧めしており、お読み頂いた結果、透析間体重増加が減少した患者様がいらっしゃいます。先月、透析中の血圧低下が少ない時間あたりの除水量が少ない方が長生きと報告されている事をご紹介しており、過剰とならない透析間体重増加や透析時間延長は良好な生命予後(長生き)を実現する可能性が高いと考えられます。
鈴木一之先生は、国内の透析医学におけるトップジャーナルである日本透析医学会雑誌に掲載された論文「 透析条件・透析量と生命予後患者背景別の検討」 (日本透析医学会雑誌45巻2号Page143-155,2012 )の筆頭著者であり、透析時間、血流量および透析量と生命予後の関係の、患者背景による違いを明らかにするため、日本透析医学会の統計調査結果を用いて、2002年末の週3回施設血液透析患者様を対象に、観察的研究をされました。その結果、透析時間240 分(4時間)以上270 分(4時間半)未満を基準とすると、患者背景によらず、透析時間が長い患者群で生命予後良好(長生き)で、血流量200 以上220mL/分未満を基準とすると、栄養状態不良な患者群を除き血流量が多い患者群で生命予後良好(長生き)で、栄養状態不良な患者群を除き透析量が多い患者群で生命予後良好(長生き)でした。
以上より、一般的な週3回血液透析では、栄養状態不良な患者群を除き、透析時間の延長や血流量の増加により透析量を増大させることで、患者様の生命予後を改善する可能性が示唆された事を上記論文にて報告されておられます。即ち、「 透析医が透析患者になってわかったしっかり透析のヒケツ」 の第5章のタイトル「 しっかり食べて、しっかり透析する」 と元気で長生きにつながる事が考えられます。
※「しっかり透析のヒケツ」(メディカ出版)ピンク表紙の第2版が最新版です。お求めの際にはご注意下さい。