第35回 元気で長生き講座(2014年10月号)
先月9月に大阪にて開催された第83回大阪透析研究会にて菅沼が「高効率無酢酸透析における異所性石灰化抑制の可能性」を発表致しました。今回歴代2位の2千名を超える透析医療関係者が参加した同じ会で福島県郡山市の援腎会すずきクリニック院長の鈴木一裕先生が「透析効率を上げるためには〜高血流オンラインHDFを中心に〜」を発表され、その一部をご紹介します。
鈴木先生は自院の33名の方を対象に、血液透析中に血流量(QB)を400→低血流の200→高血流の400mL/minと変化させ、透析中に心臓超音波検査を実施し、全身から心臓へ帰ってくる血液量(静脈還流量)を評価されました。その結果、左室駆出率(EF)50%未満の心臓の機能が低下した方々を含め、心臓での1回拍出量、心拍数、下大静脈径のいずれも変化がなく、高血流量において静脈還流量が増加することはなく、高血流量で心負荷を生じない事を報告されておられます。
高血流が心負荷をもたらすとの意見は医学的根拠(エビデンス)が全く無い迷信と考えられる一方、国内外で長時間透析や高血流の方における生命予後良好(長生き)が報告されており、長時間透析や高血流透析は生命予後を改善させる可能性が高いと考えられます。内シャントを含むバスキュラーアクセスにて十分なQBが確保出来ない脱血不良の問題等が存在する場合を除き、十分なQB(高血流)で透析を行う事をお勧め致します!