第31回 元気で長生き講座(2014年6月号)
~お薬内服の重要性~
東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科名誉教授酒井紀先生よりご紹介頂き、患者様からのご要望もあり、本院 この度賛助会員となり、日本腎臓財団発行の「 不全を生きる」 配布を先月より開始しました。
先月腎内科クリ ック世田谷便りと共に配布させて頂きました最新号(Vol.49, 2014 )での座談会の記事に登場している中山重雅看護師は、菅沼が東京女子医科大学腎臓内科より最初に出向した新宿石川病院にて一緒に勤務され、昨年横浜で開催さ た日本腎不全看護学会の大会長を務められました。
座談会には医師の他、薬剤師さんも登場され「 圧のクスリで っても、実は心臓を保護していることがありますので、血圧がそれほど高くなくても飲んでおいたほうがいい場合があります」「 リン血症のクスリが実は血管を守っているということがあります」と述べられていました。
実際、例えば、以前腎内科クリニック世田谷患者会にて紹介させて頂きましたが、アーチストやメインテート等のベータ(β)遮断薬を内服されている透析患者様での生命予後良好の報告(Nakao K, Makino H, Morita S, et al: Nephron Clin Pract.113:c132-139, 2009 )があり、β遮断薬は血圧のみならず心拍数を下げ、心臓を保護し良好な生命予後をもたらすことが考えられます。
リン吸着薬により血管が守られ、動脈硬化進行が抑制され、血管が狭くなる、あるいは閉塞する事で起こりうる狭心症、心筋梗塞や脳梗塞が予防され、良好な生命予後が期待されます。最近、週刊現代等の記事を読んだ患者様が「高血圧の基準が変わった」と誤解されている事があるようです。
これらの報道が誤りであることが、別紙の日本人間ドック学会が週刊現代の記述に対し先月出した声明等で分かりました。一般社団法人日本報道検証機構ホーページに「人間ドック学会、健康基準を緩和」は事実誤認であるとの記載もあります。日本動脈硬化学会は「誤解を生じる可能性があり、日本国民の健康に悪影響を及ぼしかねず危険」などとする見解を発表しました。元日本高血圧学会理事長の藤田敏郎・東京大学名誉教授も「140mmHg以上が高血圧というのは世界共通」と話されています。患者様におかれましては、くれぐれも誤解のないようお願い申し上げます。
「元気で長生き」実現のためにも、塩分・水分制限は勧められるものの、食べるべきものはしっかりと食べて頂く食事療法及び「しっかり透析」と共に薬物療法も極めて重要な治療となります!