第28回 元気で長生き講座(2014年3月号)
〜タンパク(蛋白)質摂取の勧め〜
維持透析導入前に多くの方は、厳しい蛋白質の制限の経験がおありだと思います。維持透析開始後、もちろん個人差はありますが、概ね2年程で残存腎機能が喪失してしまう事が多く、残存腎機能喪失後も蛋白制限を継続する事は、低アルブミン血症を来たす事になりかねません。
アルブミン値は高い方が長生きされる事が分かっています。血液中のアルブミンなどの多くの蛋白質は水をひきつける浸透圧作用を持っています。この場合の浸透圧は膠質浸透圧と呼ばれています。蛋白質の不足による低アルブミン血症では膠質浸透圧が低下するため、循環血漿量が維持できずに血管の外側の間質に水分が流出してしまい、これがむくみである浮腫、血液透析中の除水に伴う血圧低下や下肢つり(足つり)の原因になる事があります。
透析中の血圧低下が少ない患者さんが長生きとの報告もあります。蛋白質は筋肉の元になる事が知られており、筋肉量の多い透析患者さんが特に長生きされていることも知られています。以上より、筋肉量の低下や低アルブミン血症を出来るだけ来たさないよう肉や魚などの蛋白質をしっかりと食事で摂って頂くことが推奨されます。
蛋白質を多く摂ることで血液中の尿素窒素(UN)の数値が高くなったり、高リン血症を来たしたり、血液が酸性に傾く代謝性アシドーシスを来たす事がありますが、これらの対策として、十分な透析(しっかり透析)を同時に実施することが望まれます。長生きを実現するしっかり透析は主に長時間、高血流、大膜面積透析器にて実現可能です。蛋白質を含む食品でもリンの多いものと少ないものがあり、管理栄養士さんの今回と次回の記事が大変参考になります。「しっかり食べて動いてしっかり透析」で元気で長生きを目指しましょう!