第26回 元気で長生き講座(2014年1月号)
〜長時間透析の勧め〜
1992年、フランスのCharra博士が、著名なKidney International 誌上に1回8時間、週3回の長時間透析を実施した445名の患者さんにて高血圧の管理が良好となり、10年生存率75%及び20年生存率43%と日本の約2倍の好成績を報告されました(CharraB, Calemard E, Ruffet M, et al: Survival as an index of adequacy of dialysis. Kidney Int. 41(5):1286-1291, 1992 )。
人工腎臓技術料に透析時間区分が考慮されていなかった2005年「長時間透析研究会」が発足。本院が開院した年である2008年4月、時の流れは長時間透析に傾き、厚生労働省は4時間未満、4〜5時間及び5時間以上の3つの透析時間区分による人工腎臓技術料を設定しました。厚生労働省はその理由として「副作用等により透析時間を長くせざるを得ない患者がいることや、透析時間が生命予後に影響を与える可能性があること等を考慮し、透析時間に応じた診療報酬上の評価を行う」と説明したそうです。長時間透析が厚生労働省から正式に良い透析治療法である、と評価され日の目を見ることが出来るようになったことは、透析患者様にとっても、透析医療従事者にとっても、大変喜ばしいことでした。
第4回長時間透析研究会で、長時間透析の定義として、週3回では1回6時間以上、週4回以上では週合計18時間以上と決定されました。長時間透析研究会は在宅透析研究会同様、透析患者様も無料で参加可能な研究会となっており、今年は札幌で秋に開催されます。昨年第二透析室を含む新棟が完成し、ベッドに余裕が出来、私の夢でもあった「長時間透析」を本院でも実現することが出来ました。長時間透析研究会のかもめクリニック金田浩会長よりご推薦頂き、来年の2015年の第11回長時間透析研究会大会長を菅沼が務めさせて頂く事になりました。身に余る光栄で、長時間透析研究会初の東京での開催となり、多くの方々の参加を期待しています。
時につらいと思われる透析治療も時間を延長し、時間をかけて行う事で時間あたりの除水量が少なくなり、下肢つりや透析中の血圧低下も起きにくくなり、随分と楽になることがあります。実際、時間あたりの除水量が少ない方や透析中の血圧低下が少ない方が長生きとの報告がなされています。先日本院で初の8時間臨時透析を実施させて頂いた在宅血液透析患者様がいらっしゃいました。その方は6時間でも体調が良くならず8時間にして体調が良くなったとの事でした。「元気で長生き」を実現する透析時間延長のご希望に可能な限り応えたいと考えておりますので、どうぞお気軽にご相談・ご希望下さい!