第25回 元気で長生き講座(2013年12月号)
~血流量を上げてもシャントが傷むとか心臓に負担がかかるということはありません~
愛媛県四国中央市中之庄町116にある三島外科胃腸クリニックでは毎年、日本の透析療法をリードされる高名な先生をお迎えして「三島クリニック講演会」を開催しており、毎年好評との事です。「第12回三島クリニック講演会」は、2013年2月17日(日)、川島病院院長、水口潤先生が講師として御講演され、その素晴らしい内容が同院ホームページ内http://www4.ocn.ne.jp/~m.c/kouenkai12.html)に公開されており、学会にて水口先生にお会いした際快くご許可頂けましたので、一部をご紹介します。
水口先生は2012年11月、日本透析医学会(JSDT)理事長に就任されており、日本の透析は従来の「厳しい食事制限で少ない透析」ではなく本院の方針でもある「しっかり食べてしっかり透析」がさらに推奨されるものと大いに期待しております。
演題名「元気で長生きをしましょう!!」
【講演内容】
30年前、透析についての議論が2通りありました。
①塩分水分管理、蛋白制限をしっかりし、週2回の透析で管理できる。
②食事制限は緩め、その分透析回数や透析時間を多くする。
長い目でみてみると、結果的には②のちゃんと食べてしっかり透析
をする方が長生きできることが分かりました。
『長生きをするための透析医療(七ヶ条)』
元気で長生きをするためには
1,栄養をとりましょう
2,十分な透析をしましょう
クリアランス(毒素がどれだけ抜けるか)でみた場合、週3回の透析は腎臓の1割程度の能力しかありません。体調が悪いのは尿毒素がたまるからで、十分透析をしてしっかり毒素を抜くことが大事です。
川島病院においてKT/Vやクリアスペース率という毒素がどれくらい抜けたかという指標でみても、やはりそれらの値が高いほど、すなわち毒素をよく抜くほど生存率が高いという結果になっています。
血流量を多くとることは毒素を多く抜くうえで重要です。川島病院では年齢に関係なく250ml/minの血流量から始めています。シャントには500~1000ml/minの血液が流れているので、血流量を上げてもシャントが傷むとか心臓に負担がかかるということはありません。だから、許す限り血流量を上げることが毒素を十分とり除く秘訣です。
ダイアライザーはⅣ型・Ⅴ型の高性能膜で、1.8㎡以上の面積のものを使用しています。1.5㎡のダイアライザーも1種類だけありますが、使用している患者さんはごく
わずかです。
3,運動をし体力をつけましょう
4,血圧管理をしましょう
5,リンの値を下げましょう
6,貧血を治しましょう
7,ガン検診をうけましょう
以上の長生き七ヶ条を実践して元気で長生きをしましょう。