人工透析・糖尿病専門外来 千歳烏山駅北口

腎内科クリニック世田谷
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菅沼院長の元気で長生き講座
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第62回 元気で長生き講座(2017年2月号)

菅沼院長の元気で長生き講座

~長生きのためには青魚やお肉(肉類)を食べましょう~

 

東京医科大学病院腎臓内科教授菅野義彦先生が肉類を多く摂取されている透析患者様が長生きされていたことを報告しておられますので、ご紹介致します。菅野先生は長期透析歴患者様のお食事内容の聞き取り調査に本院へもお越し頂けたことがございました。本院には透析歴45年目の方もいらして菅野先生にお目にかかった患者様もいらっしゃることと存じます。

 

2010年の予後調査にて、20042006年の2年間の食事摂取状況と7年後の生命予後との関連について、血液透析患者346(男性212名、女性134)を対象に検討を行った結果、生存群の食事はエネルギー摂取量が高く、中でも蛋白摂取量が高いことが明らかとなりました。蛋白質で最も多い血中アルブミン値が高い透析患者様程長生きされていることも知られております。さらに、蛋白源となる食材摂取量の詳細な解析にて、生存群では魚介類や卵類、乳類では摂取量に差はなく、有意に肉類の摂取量が多いことが認められました(表1)。特に、動物性油脂類は、生存群で摂取量が約2倍有意に多いことが明らかとなっています(2)

 

青魚に多く含まれるEPADHAも動物性油脂類です。透析患者様におけるEPA経口薬の抗動脈硬化作用も報告されており、青魚の十分な摂取が難しい方らにおきましても有効である可能性があり、現在医薬品としてEPAもしくはEPA+DHAは経口薬(エパデール、ロトリガ)として処方可能ですので、ご相談下さい。これらの報告から、動物性蛋白の積極的な摂取が生命予後の改善につながることが示唆されます。栄養素の観点では、食肉から供給されるカルニチンが有用な可能性が考えられます。特に赤みのお肉に多く含まれるカルニチンには貧血や心機能改善作用、下肢つり予防等の効用が報告されており、肉類の十分な摂取が難しい方らにおきましてもカルニチンの投薬が有効である可能性があり、現在医薬品として経口薬又は注射薬として処方可能ですので、ご相談下さい。蛋白質摂取によるリン(P)値上昇を心配される方もいらっしゃると存じますが、乳製品と異なり、魚や肉類に含まれるPは比較的少ないことが知られております。高P血症に対しては食事でのP制限の前にまずは透析量の増加、次にP吸着薬をお勧め致します。蛋白質は筋肉の元になります。筋肉量が多い透析患者様が特に長生きされておられますので、積極的な蛋白質の摂取と歩行等の運動を行って頂くことで筋肉量が維持又は増加し、元気で長生きにつながることでしょう!