人工透析・糖尿病専門外来 千歳烏山駅北口

腎内科クリニック世田谷
〒157-0062 東京都世田谷区南烏山4-21-14

菅沼院長の元気で長生き講座
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第63回 元気で長生き講座(2017年3月号)

菅沼院長の元気で長生き講座

~本院における昨年末の好成績のご紹介~

 

本院も施設会員となっております日本透析医会は自主機能評価指標の項目を選定し、自律的に自らの診療内容や医療の質の評価を公開することを勧めています。本院でも選定された全ての評価指標項目を本院サイトにて毎年公表しております。

 

Ⅲの治療指標は透析治療結果を反映するものであります。本院での腎性貧血管理は2016年12月現在ヘモグロビン(Hb)平均値10.83(中央値10.80)g/dLと以前より上昇しておりますが、生命予後の観点からも赤血球造血刺激因子製剤(ESA)が過剰とならない事も目指しており、鉄剤は静注鉄剤よりも経口鉄剤をお勧めしております。日本透析医学会の2015年版 慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン(透析会誌49(2):89-158,2016)に従い引き続きHb10~12g/dLを目標値としたいと存じます。又、2016年12月現在iPTH平均値196.7(中央値156.0)pg/dLと以前より上昇しておりますが、PTH値と生命予後との関連が低かった報告(Fukagawa M, et al:Abnormal mineral metabolism and mortality in hemodialysis patients with secondary hyperparathyroidism: evidence from marginal structural models used to adjust for time-dependent confounding. Am J Kidney Dis 63(6):979-87, 2014)もあり、日本透析医学会の慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)の診療ガイドライン (透析会誌45(4):301-356,2012)に従い、透析患者様の異所性石灰化予防及び生命予後の観点からもリン(P)値、補正カルシウム値(cCa)、副甲状腺ホルモン(PTH)値の順に優先して良好な値を目指しており、cCa平均値は9を超えている全国平均よりも低い8.86(中央値8.90)mg/dL、cCa10 mg/dL以下の割合97.3%の良好な数値となっております。実際、上記CKD-MBDの診療ガイドラインに「透析患者においては血清Ca濃度がたとえ管理目標値内であってもできるだけ低く保つ方が生命予後を改善する可能性が示唆された」との記載がなされております! なお、血清アルブミン(Alb)値が4g/dL未満のときは下記のPayne(ペイン)の式でcCaを算出します。4g/dL以上のときは補正の必要はありません。P、cCa、PTH全てを低下させる唯一の薬が骨折予防効果も報告されているCa受容体作動薬シナカルセト塩酸塩(レグパラ)でしたが、先月注射薬のCa受容体作動薬エテルカルセチド塩酸塩(パーサビブ)が発売となりました。又、2016年末の本院平均spKt/V値は1.92で、2009年末のわが国の慢性透析療法の現況ではspKt/V1.8~2の方の生命予後が最も良好でありました。

 

cCa (mg/dL)=実測Ca値(mg/dL)+{4.0-血中Alb値(g/dL)}

 

「元気で長生き」を目標に可能な範囲で良好な治療結果が継続して得られるよう皆様と共に今後も歩んでいきたいと考えておりますので、ご理解とご協力を宜しくお願い申し上げます。