第69回 元気で長生き講座(2017年9月号)
~必要に応じ「元気で長生き」を目指した内服薬の調整を行っております~
京都駅前武田透析クリニックの吉岡先生が同院Facebookページにて以下のメッセージを先月投稿されておられましたので紹介致します。吉岡先生も本院と同様にクエン酸含有無酢酸透析液を用いた高血液流量透析を含む高効率透析を実施されており、共に演題発表した第20回日本次世代人工腎臓研究会にて直接お目にかかっており、臨時透析患者様をお互いにご紹介しております。下記を拝見し、開業間もない頃2回転医された患者様を思い出しました。再転医される理由が私にとっては大変驚くべきもので、「何年も自分は同じ定期薬を内服してきました。腎内科クリニック世田谷に転医してから定期薬の変更が頻回にあり信用出来ないので再転医します」とのことでした。その患者様は異所性石灰化のリスクとなるカルシウム(Ca)値高値を認めていたため、少しずつCa含有リン吸着薬を減量し、Ca非含有リン吸着薬への置き換え等を本院にて行った患者様でした。Ca含有リン吸着薬よりもCa非含有リン吸着薬内服の透析患者様が有意に長生きも報告されております。私の説明が不十分であったと反省しきりでありましたが、何年も同じ定期薬の方は少なく調整を要する方が多いことをどうかご理解頂けますと有り難く存じます。ご不明な点・ご希望等ございましたら、ご遠慮なくご質問・ご相談下さい。
「透析患者の皆様 平素より当クリニックの円滑な運営にご協力いただき感謝しております。本年度に入り、定期処方薬を指示通り服用せず、余った薬を長期にわたり廃棄し続けていた事例が2件ありました。大変残念なことです。透析患者さん1人当たりの医療費は年間500-600万円と大変高額ですが、大部分は国庫から支給され、皆様の自己負担額は低く抑えられています。腎不全の患者さんの誰もが、望めば人工透析を受けられ、ほとんど自己負担もなく、生活圏内で通院しながら透析を受けられる、今日の恵まれた状況は、約50年前から皆様の先輩の透析患者さんたちが政府や自治体、政治家に働きかけ続け、多くの人々に支えられ確立されてきたものです。その恩恵を皆様は享受しています。皆様に処方している内服薬は、すべて内服していることを前提として、毎月の検査結果や透析治療の経過を分析し、度々細かく調整、修正を加えた上で処方しています。指示通りに内服して頂けなければ、分析も調整も何の意味もない作業になってしまいます。我々スタッフや、すべての関係者の日々の努力や労力、意図をすべて無視することに等しい行為です。自己負担が低く抑えられ定額であるため、実感がないのは仕方ないかもしれませんが、処方薬の中には高価な薬もたくさん含まれています。廃棄することは、多額の税金を捨てていることと同じです。勿体ないと思いませんか?これは、納税者全員に対する裏切り行為であり、現在の手厚い透析医療を努力して築き上げた先輩の透析患者さん達への裏切り行為です。人工透析は、正常な腎臓の働きのごく一部を代償しているに過ぎません。自己管理と、内服薬による治療も必要不可欠です。自己管理を怠ったり、内服薬を指示通り内服しないことにより、きちんとしていれば必要ではなかった治療や手術が必要になったり、合併症の進行が早まったり、等種々の不利益を被ることになります。ご自身のための腎不全治療と向き合い、自己管理、内服薬の適切な服用に努めてください。それにより処方薬が減量できる可能性があります。努力しても適切に内服できない方には、処方の整理や薬剤師による指導など、対策を考慮しますのでご相談ください。廃棄は絶対に止めてください。京都駅前武田透析クリニック 所長 吉岡徹朗」