第48回 元気で長生き講座(2015年11月号)
いよいよ今月(11月22日(日))初の東京開催となる長時間透析研究会が開催されます。「血管石灰化の病態と治療」と題した講演をランチョンセミナーにてされます、私が開業前に所属しておりました東京女子医科大学第四内科(腎臓内科)主任教授新田孝作先生は、大会顧問ご挨拶にて、「近年、大規模な後ろ向きコホート研究にて長時間透析は短時間透析より有意に生命予後良好であること(1)、血液透析中の妊娠女性において、カナダの長時間透析群は米国の短時間透析群に比べ有意に高齢であったにも関わらず、有意に出生率が高く妊娠期間が長く出生体重が重い傾向であったこと(2)が報告され、」と述べていらっしゃいます!
大規模な後ろ向きコホート研究では、次ページのグラフのごとく生存曲線に有意差を認め、1388 名のConventional HD 群は1回2.5~5.5時間(平均3.9時間)の週3回の短時間透析であったのに対し、生命予後良好(長生き)であった338 名のIntensive HD 群は1回5.5時間を超える透析時間(平均7.4Hr )で週3~7回(週平均4.8回)の長時間在宅血液透析実施でした。
(1)Nesrallah GE, Lindsay RM, Cuerden MS, et al: Intensive hemodialysis associates with improved survival compared with conventional hemodialysis. J Am Soc Nephrol. 23(4):696-705, 2012
(2)Hladunewich MA, Hou S, Odutayo A, et al: Intensive hemodialysis associates with improved pregnancy outcomes: a Canadian and United States cohort comparison. J Am Soc Nephrol. 25(5):1103-1109, 2014
先月10月4日(日)開催の本院患者様の勉強会にて第11回長時間透析研究会の案内を小原事務局長よりさせて頂き、その冒頭で、1992年、フランスのタサン(Tassin)透析センターのCharra博士が、世界的に著名なジャーナルであるKidney International 誌上に1回8時間、週3回の長時間透析を実施した445名の治療成績の報告(Kidney Int. 1992 May;41(5):p1286-1291. )をご紹介しました。
表題は「Survival as an index of adequacy of dialysis」となっており、十分な透析治療を実施したかどうかを判断する基準は生存率である、と断定しました。わが国およびフランスの8時間透析における、10年生存率および20年生存率をご紹介させて頂きました。その数値はそれぞれ、最新の日本透析医学会統計調査委員会発表の2013年末の10年生存率日本36.3 %に対し、フランスTassin 透析センター75%、20年生存率日本16.1 %に対し、フランスTassin 透析センター43%と、8時間の長時間透析における生存率が日本の二倍以上の世界トップレベルの驚異的好成績でした。
古い報告ですが、大変インパクトのある長時間透析の金字塔と評価される貴重な報告であり、長時間透析は長生きを実現する可能性が極めて高いと考えられます!