第37回 元気で長生き講座(2014年12月号)
〜来年都内で開催される第11回長時間透析研究会挨拶文をご紹介します。
ベッド状況等が許す限り透析時間延長のご希望にお応えしますのでご相談下さい!〜
長時間透析が評価され厚生労働省が5時間以上を含む3つの透析時間区分による人工腎臓技術料を設定した2008年に京王線千歳烏山で開業し、お陰様で多くの外来維持透析患者様を診させて頂いております菅沼と申します。2013年第二透析室を含む新棟が完成し透析ベッドに余裕が出来、私の夢でもあった「長時間透析」を本院でも実現することが出来ました。長時間透析研究会の金田浩会長よりご推薦頂き、第11回長時間透析研究会大会を担当させて頂く事になりました。在宅血液透析(HHD)研究会同様患者様も参加される貴重な研究会で、今回初の東京での開催で身に余る光栄です。
世界的な大規模前向き観察研究DOPPSにて透析時間延長に伴う生命予後良好が示され、その効果は米国、欧州より日本でより顕著であった事も報告1)されています。透析中の血圧低下が少ない時間あたりの除水量が少ない方が長生きと報告1),2)されており、時につらいと思われる透析も時間をかけて行う事で時間あたりの除水量が少なくなり、下肢つりや透析中の血圧低下も起きにくく体液量管理が容易となり、高血圧が改善し降圧剤が減量出来ると報告3)されております。長時間透析により尿毒素が十分に除去され、透析アミロイドーシス原因蛋白β2ミクログロブリン、カリウムやリン(P)管理が容易になり、P吸着薬等が減量出来、食事制限緩和にも伴い栄養状態や貧血が改善し造血ホルモン製剤が減量出来3)、合併症による入院も減り、医療費節約も期待出来ます。本院でも推進しているHHDに移行出来れば、透析体感時間が短くなる深夜長時間透析も実施しやすくなり患者様の良好な社会復帰にもつながります。
以上のように長時間透析には多くの利点があることから、テーマを「元気で長生き!その秘訣は長時間透析にあり!」に致しました。長時間透析が広がり、より多くの患者様が「元気で長生き」される事を願ってやみません。交通至便な永田町の都市センターホテルで紅葉の綺麗な時期に皆様のお越しをお待ちしております。
第11回長時間透析研究会大会長医療法人社団
菅沼会腎内科クリニック世田谷 院長 菅沼信也
1)Saran R, Bragg-Gresham JL, Levin NW, et al: Longer treatment time and slower ultrafiltration in hemodialysis: associations with reduced mortality in the DOPPS.Kidney Int. 69(7):1222-1228, 2006
2)Movilli E, Gaggia P, Zubani R, et al: Association between high ultrafiltration rates and mortality in uraemic patients on regular haemodialysis. A 5-year prospective observational multicentre study. Nephrol Dial Transplant. 22(12):3547-3552, 2007
3)Ok E, Duman S, Asci G, et al; Long Dialysis Study Group: Comparison of 4- and 8-h dialysis sessions in thrice-weekly in-centre haemodialysis: a prospective, case-controlled study. Nephrol Dial Transplant. 26(4):1287-1296, 2011